菊池邸 2005

「真鯛の家」と称する、自邸の建て替え。
山口の博覧会において、設計したレストランの構造材が会の閉幕後に安く譲渡されると聞き、それに合わせた平面、断面とすることで住宅への転換を考えていたが、残念ながら山口県内で譲渡先が決まってしまい、一度は建て替え自体を断念。
しかし個人住宅においてもスパン14mの無柱空間はやはり魅力に感じ、新たに2層の建物として設計し、完成と同時に福岡から熊本に引っ越しを行っている。

1階の道路レベルにビルトインガレージを設け、その上部は中間階として畳敷の掘り炬燵のあるスペースとしている。
その他の1階部分は壁式RCの箱として各寝室を配置。
無柱の木造の2階部分には、ブリッジで繋がる様々な多用途スペースを確保。
(南西角から時計回りに「底とり」「前あたり」「本あたり」「やりとり」「三段引き」「歓喜」ステージと真鯛釣りの段階を表すネーミング)
当時はまだ元気だったオヤジが大好きだった真鯛釣りの興奮を、どこでも味わえないかと模索しながらの設計作業であった。

第7回 JIA熊本住宅賞特別賞 受賞